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猫が一番偉い長屋の話『鯖猫長屋ふしぎ草紙』

『鯖猫長屋ふしぎ草紙』

鯖猫(さばねこ)、と読みます。
ぜひ、猫好きさんに読んでいただきたい時代小説です。

著者は、女流作家の「田牧大和

題名の通り、サバのような模様の毛並み持つオスの三毛猫が登場します。




名前は「サバ」。ただし、大変な美猫と書かれれています。
小説なので詳細はわかりませんが、縞三毛と呼ばれる柄じゃないかなぁ、と思います。

鯖猫長屋」と呼ばれる貧乏長屋が舞台です。以前は「磯兵衛長屋」と呼ばれていました。ある時、長屋に住む絵描きの飼い猫「サバ」が、永代橋へ出かけようとしていた住人の外出を引き留めます。もちろん会話はできませんが、猫の様子になんとなく感じるものがあって外出を控えた住人。そしてその日、永代橋が崩落しました。

この件で一躍「サバ」は永代橋崩落を予見した「お猫さま」と有名になり、長屋の呼び名も変わってしまいました。

この「サバ」、やや小柄ながらも目を引くほどの美猫で喧嘩にもめっぽう強く、しかも人語を理解しているかのような賢さとそぶりをみせます。

さらに「ふしぎ草紙」とあるように、ちょっとばかり幽霊なんかも登場します。

このあたりの「ふしぎ」が許容できる方ならおすすめです。

「サバ」の飼い主は、やはり長屋の住人で「猫の絵しか描かない」貧乏絵師。飼い主とはいえ、気に入らないことがあれば爪を立て、噛みつきにくるという気性の「サバ」の尻に敷かれています。一見荒事とは無縁の情けない三十男……しかし、実はその正体は……という感じです。

絵描きの主人公はじめ、登場人物が魅力的です。猫に長屋の名前を取られても気にしないやり手の差配さん。長屋を仕切る女丈夫のおてるさん。歌舞伎役者のようなお奉行などなど。

ひょうひょうとした態を装いながらも、ワケありの主人公が、長屋や周囲の面々にほだされていく様子が気持ちのいい小説です。

続巻も出ています。

おおむね2巻で綺麗に収まっているので、続きがあるのかないのか……というところですが、2巻でまた面白そうなキャラが登場しているので、3巻も期待したいところです。

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